2001年5月8日(火)15:37

欧州の社会民主党はEU改革の争点を未解決のまま残す

ベルリン(ロイター)

欧州の社会民主党は欧州連合(EU)の拡大と改革を支持する旨を宣言したが、論議を呼ぶ問題については未解決のまま残した。欧州社会民主党(SPE)の代表は火曜日、ベルリンにおける党大会において、EUの一層の統合と拡大を目標とし、とりわけ欧州の社会的責任を強調する宣言を採択した。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相の具体的なEU改革の要求をめぐる議論では、宣言を一般的表現にとどめることにより異なる考えを持つ加盟国間の妥協を図った。シュレーダー首相の提案は二日間の会議ではほとんど論議されなかった。

「ベルリン宣言」は次のように謳っている。「われわれの目標は強く行動能力のある、分かりやすく組織され一層の民主的正統性を備えた欧州連合である」。欧州社会民主党(SPE)は「諸々の条約と機構組織を、決定方法をより透明にかつ民主的に構成すべく改革し…補完性原則を充分に考慮してより良い権限分担」を欧州連合、加盟国および地域レベルの間で実現する意向である」。しかしこの宣言文では、EU諸機構間およびEU加盟国間の具体的な権限分割という議論の分かれる問題は未解決のまま残されたことになる。

シュレーダー首相の提案はSPE会議のディスカッションフォーラムではほとんど表立って議論されることはなかった。イギリスのトニー・ブレア首相は間際になって出席を断ってきたため、指導的なEU加盟国の代表が一人欠けた形となった。出席したフランスのリヨネル・ジョスパン首相は、欧州政策に関する見解を発表しなかった。「ベルリン宣言」は党大会の間に当初の草案から変更され、控えめな表現にとどめられた。たとえば草案では欧州基本権憲章を欧州条約に束ねることが要求されていたが、最終案によれば基本権憲章の地位は「条約を視野にいれて検討される」と述べられるにとどまった。

欧州社会民主党の代議員はイギリスのロビン・クック外相を賛成多数で次期SPE議長に選出した。クック外相はドイツのルードルフ・シャルピング国防相の後を引き継ぐ。シャルピングは6年つとめた議長職を自らの希望で退き、議長代理に選出された。クック新議長は謝辞の中で、欧州の左派はEU拡大の弁護人にならねばならない。保守政党とは対照的に左派にとっては人間の連帯が最重要の価値なのである、と述べた。代議員の大きな拍手を受けてクックは、欧州は環境政策の推進力となり、アメリカが拒否している、温暖化ガスの削減を定めた京都議定書の実施を断固進めねばならない、と訴えた。

欧州社民党(SPE)は、それまでヨーロッパの左派政党の緩やかな連合のみしか存在しなかったところに、1992年「党中党」として創設され、15ヶ国の20政党が所属している。党大会にはイスラエルのシモン・ペレス外相およびセルビアのゾラン・ジンジッチ首相など、協力関係にある政党の来賓も出席した。

原題:Europas Sozialdemokraten lassen Streitfragen der EU-Reform offen